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​白 銀 の 戦 慄

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【銀魂】かまっ娘倶楽部の内情

  • 執筆者の写真: siversou
    siversou
  • 5 日前
  • 読了時間: 5分

 かまっ娘倶楽部。歌舞伎町内で居を構えている、クセの強いおかまバーだ。

 『かまっ娘倶楽部』の経営者は歌舞伎町でも顔の広い、かぶき町四天王が一人「鬼神マドマーゼル西郷」。

 マドマーゼルと称しているが、お察しの通りただのオカマである。


「男は度胸・女は愛嬌・オカマは最強」


 いつしか誰かが言い始めた、かまっ娘倶楽部内で共通認識と化しているこの名訓を、体現しているのがこのマドマーゼル西郷であった。

 かつては攘夷戦争にも参戦していた「白フンの西郷」。

 攘夷戦争から身を引いた彼は、妻との間に子をもうけ、後に妻が早世。

 母を早くになくした一人息子のため、母替わりを努めようとした結果が、現在の状況である。


 漢として大切なモノの為には命を張れる度胸。

 女として笑顔を振りまき、人を和ませれる愛嬌(?)。

 そのどちらもを兼ね備え、尚且つ攘夷戦争時代に武勇を誇った怪力。

 まさに最強のオカマ。

 それが「鬼神マドマーゼル西郷」であった。


 かまっ娘倶楽部で働く皆にとっての憧れ。最強で最高に自慢のママ。西郷特盛。

 歌舞伎町、かまっ娘倶楽部。そこは、西郷特盛をママとあおぎ団結する、最恐のオカマ軍団の巣なのである。

 しかし、最近になって一枚岩であったその軍団にも、些か不穏な空気が流れ始めていた。




「ねェ、最近のあずみ、どう思う?」

「あずみィ? あー、まぁ……最近はママにパー子にと弄られ倒してるみたいだから、大変だなぁとは思ってるわよ」


 今日はかぶき町四天王会議の日。

 故に、四天王の一人である西郷は当然本日の店入りなし。

 だが、普段は常駐しているはずのあるメンバーも、今日が休みというワケではなく、本日の店入りはなしとなっていた。

 そのメンバーこそ。


「大変そうなのはそうだけど、本来あの子は、うちの店の三味線担当でしょお? それなのに、最近はママの後継、四天王代理としてママについて店を休むことも増えてるじゃない?」

「そうね」


 先ほど話題に上がったかまっ娘倶楽部、三味線担当のあずみ、である。

 本日のかまっ娘倶楽部は既に営業を終了している。

 店内は客が酒でどんちゃん騒ぎした後片付けに追われるメンバーが、床掃除や机周りを片しているとこであった。

 そんな中、机の上だけでなく散乱している酒瓶を黄色い瓶ケースにしまっていたバネ子が、机の上を拭いていたワカ菜に声をかけた。

 バネ子に声をかけられたワカ菜は、バネ子が何を言いたいのか、その真意を読み取ろうと掃除の手をとめバネ子に目を向けた。


「あずみがママの後継になるのは別に構わないんだけどね、頻繁に店を休まれちゃうと、三味線担当の欠員が出て、イマイチ盛り上がりに欠けると思うのよね」

「確かにそうねェ」

 そう言われてみれば確かに、あずみは「かまっ娘倶楽部」の三味線担当を務めているだけあって、その腕前は店の中で随一。

 だからこそ、あずみの欠員はかまっ娘倶楽部運営の面で見ると、軽視していいものではなかった。

 だが、だからと言ってどうしろと言うのか。

 ママもあずみも、歌舞伎町の平穏のために大切な時間を割いて出かけているわけであって、決して遊び惚けての欠員ではない。

 となればこそ、今の現状は致し方のないと言うしかないのではないか。

 そこまで考えたワカ菜は、一度同意して見せたバネ子へ、続けて言葉を返した。


「でも、だからと言ってすぐすぐには解決できる問題ではないでしょう? まさかあずみが影分身できるわけでもないでしょうし」

「そうね、アゴ分身ならできるかもしれないけど、影分身は無理でしょうね」

「アゴ分身ってなによ」

「そこで本題なんだけどね、実はあの娘、少し前にいいヒトを見つけたみたいで」

「いいヒトォ? それってあれ? 数年前にあずみが数十日まとめて有給をとってたあの期間に狙ってたっていう?」

「そうよそう。どうせ無理でしょうと思ってたその人を、実は射止めていたらしいのを私、最近知っちゃってね」

「なによォ水臭いわねェ! なんで私たちに紹介してくれなかったのよあずみ」

「そうよォ、紹介してくれたら、お祝いくらいしたのにねェ? まぁ、今回の本題はそのいいヒトが肝なんだけどね。そのいいヒト、実はあの高天原に勤めていたらしくてェ」

「えぇっ、そんないいヒトを射止められたの?! やるじゃない、あずみ!! 今度いいお酒見繕かしら」

「あっらァ、いいわね!! なんだったら、ママの後継決定祝いと銘打って盛大に祝っちゃう?」

「それ、最ッッ高よォ!! 今日おやすみの娘たちも誘って、盛大にやっちゃいましょうよ」

「腕が鳴るわね。あ、それでね? その元ホスト君、メンクイなあずみが惚れただけあって、かなりのイカすフェイスっぽかったのよね」


 そこまで聞いて、ワカ菜はなんとなく察した。

 バネ子が何を企んでいるのか。それは……


「なるほど。アナタが言いたいのは、私たちのお仲間を増やさないかってお話ね?」

「えぇ。三味線担当はそう簡単に増やせないならば、新顔を増やしてお客さんを盛り上げればいいと思うのよねェ」

 二人はそこまで話して、ニヤリと口元を吊り上げた。


 かまっ娘倶楽部。そこは、歌舞伎町一(ある意味)恐ろしい最恐オカマ軍団の巣窟。

 普段は一枚岩で団結している、ある種かたーい絆で結びついた彼女らの絆だが、今日たしかに、不穏な雰囲気の一旦が流れ始めた。

 あずみは最愛の恋人の平穏を守れるのか。

 十郎太君に待ち構えている未来に、果たして平穏が待っているのか。


 この先は、思いつけば書くかもしれない。

 書かないかもしれない。

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