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​白 銀 の 戦 慄

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[銀魂]二年後に再会するその時まで

  • 執筆者の写真: siversou
    siversou
  • 2025年10月27日
  • 読了時間: 2分

更新日:2月9日


 万事屋にある通称“社長椅子”。

 そこは、普段は万事屋の社長である坂田銀時が座る場所であり、時折神楽が座ることもあった椅子だった。

 だが、新八がそこに座ることはなかった。

 坂田銀時が、万事屋からいなくなる時までは。


 銀時も神楽も、それぞれがそれぞれの「やるべきこと」の為に万事屋を離れていった。

 残った新八は、彼らの分まで、彼らと共に守ってきたこの場所を守るためにと、この居場所に自らの意志で残ることを決めた。

 しかし、一人きりになって初めて、誰もいない万事屋の“社長椅子”に座ることとなった新八は、目の前に誰もいない空間を目にし、虚しさにも似た感覚を覚えて。


「……なんだろ。ここってもっとこう、違ったものが見えると思ってたんだけどな」


 なにが、とは例えようのない感覚。

 二人が知っているここからの光景は、きっと万事屋が万事屋として機能していた時の光景だ。

 けれど、二人が残っていれば、自分がここに腰を下ろすこともなかったろう。

 そう思えばこそ、ここに座って自分が見る初めての景色は、「二人がいない万事屋」になるしかなかった。


 ここからの景色を考えてみたことはあったが、本当の意味で、その時見える今の光景を予想していたことなど、新八にはなかった。


「僕って、いつもこんな役回りだ」


 それでも、僕がここに残って江戸を守らないと、二人はきっと、帰る場所が分からなくなって、そのまま渡り鳥のようにどこかへ飛んで行ってしまうだろう。そんな気がする。

 二人がいないと、この場所は万事屋とも言えない空疎な状態だけど。

 僕がいないと、その形すら保てず、僕たちのやってきたこと今までが過去の思い出としてそのまま霧散してしまいそうで。

 新八は温もりをなくした“社長椅子”からの光景を、空々たる心境で眺めながら、机の上で強く握りこぶしを震わせた。


「……信じるんだ、未来を。僕が守るんだ、この場所を」






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