【銀魂】墓標での誓い
- siversou

- 15 時間前
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冬になると思い出す。
足先が冷たさを忘れて、感覚がおかしくなったのか、熱を持ったように錯覚するほどの、寒い雪の日。
その日も、いつものように当てもなく練り歩いて、体を休ませる場所として選んだのは墓地だった。
雪の降る日だ。滅多なことじゃ人は来ないだろうと、そう踏んで顔も知らない奴の墓石を背もたれ代わりに、休ませてもらっていた。
だが、人が来ないと思って背を借りていたその墓石の主は、よっぽど人に慕われていた人物だったらしい。
寒さに凍えることも忘れ、気配を消して様子を伺っていると、一人の婆さんが饅頭を供えにやってきた。
ダメだと言われることを覚悟で俺は一つ、その婆さんにお伺いを立ててみた。
「オーイ、ババー。それ、まんじゅうか? 食べていい? 腹減って死にそうなんだ」
断られたら、流石に遠慮しようかと考えていた。
それか、婆さんがいなくなった後にでも、ありがたくいただこうかと。
けど、その婆さんは思ってもいない返しをした。
「こりゃ私の旦那のもんだ。旦那に聞きな」
面白い婆さんだった。死人が口を聞けるわけないってのに。
だから、遠慮なく饅頭をいただくことができた。
その代わり、俺は一つ、自分に誓いを立てた。
あんたの大事なもん、あんたの代わりに、俺が護ってやる
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