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​白 銀 の 戦 慄

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[銀魂]慣れた風景

  • 執筆者の写真: siversou
    siversou
  • 1 日前
  • 読了時間: 2分

と散歩が出されたお題である


 まだ寒く冷たい冬の風。

 それでも、少しずつ芽吹きを思わせる草木の香りがふとした瞬間に鼻をくすぐることがある。

 定春は、そんな冬と春の丁度中間のような今の時期が、思いのほか気に入っていたりする。

 自然と尻尾は揺れ、足も駈け足気味になってくる。

 定春の後ろでは、引っ張られるようにして何かを叫んでいる男の声も聞こえるが、それもまた、定春にとっては愛すべき“今”を実感できる要素だった。


「────!!」


 あぁ、今日の散歩もなんて気分が良いんだ。

 自分の図体のデカさと食い気の良さに、前の主人たちには申し訳なさそうに置いて行かれたこともあるが、今の主人たちはなんのかんのと言いながらも、自分のことを大切にしてくれている。

 それが今この時でさえ分かるからこそ、定春は嬉しくて仕方がなかった。


「──ぃ!! ──って言ってん──っ」


 歌舞伎町から少し離れた河川敷を爆走する、一匹の大きな白い犬と、その犬のリードを強く握りしめて宙を揺蕩う飼い主の姿も、いまではもう慣れた光景である。

 彼らとすれ違う江戸の町民たちは、時折ぎょっとした顔で道を譲るように端へ避けるが「あばれ犬が人を引き摺っている」と言った通報を警察にすることはない。

 その光景も、よく見るものとして既に江戸の風景の一つして馴染んでいるのだ。 

 今日も今日とて江戸は平和である。

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