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​白 銀 の 戦 慄

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[銀魂]鳳仙

執筆者の写真: siversou
siversou
4月4日
読了時間: 3分

鳳仙は月詠が遊女たちを匿い、生かしていたのを知っていた上で黙認していた可能性が高いと考えている。それについて何か書きたい、と思って書いたのが今回のSSです。




 盃を傾けながら聞いた報告の中に、今日もアレの性分が故に起こった問題があった。


「飽きぬな……」


 日輪の禿(かむろ)から、ここ吉原の番人にまで上り詰めた、剛の者──月詠。

 吉原を守る自警団として自ら百華の設立を願い出、当時と変わらず吉原の為、その身を投じている存在。

 元が脆弱な地球人生まれながら、努力などという無駄とも思える研鑽を積み、気付けばこの夜王、鳳仙も認める程度には力をつけていたのが月詠だ。

 本来ならば守られ、それが叶わなければ敵に蹂躙されるだけの女という性別のクセして、日輪と同じく決して折れない、忌々しい程に強い目を持った存在に、鳳仙は面白くないものを感じたのを覚えている。


 既に空いた膳と盃を見下ろし、下げるように人を呼んだあと、鳳仙は提灯の明かりも乏しい座敷の奥から吉原を一望できる縁側で吉原を見下ろした。

 鳳仙たち夜兎族は宇宙最強の戦闘民族とも呼び声高く、数多くの敵も同胞すらもその手で本能がままに殺めてきた。

 だが日輪や月詠はその脆弱さからは信じられないほど、強き光を瞳に宿らせて、希望を捨てずに多くの者を生かそうとする。

 殺すことは簡単だ。しかし、生かすことは殺すよりも難しいこと。

 鳳仙はそれを知るからこそ、百華とは別に上がってくる報告を適当に聞き流していた。

 吉原から女たちが逃げ出せないという掟は、鳳仙が訪れる以前よりここ吉原に根付いていた慣習だ。

 そんな中、この吉原を鳳仙が支配するようになって、より緊迫度は増したであろう環境において、女たちは縛られ、殺生与奪を握られるだけの運命に抗い、生きるために武をとる道を選んだ。

 誰かを殺す為ではない、守るために、力をつける道を選んだ。


 最上階から見下ろす吉原を眼前に、鳳仙は口角を上げた。

 視界には屋根瓦を伝い走る百華の姿が映る。

 吉原を騒がせ、女たちに危害を加えようとする不埒者がいないか見回っているのだろう。

 本来ならば掟破りで死ぬだけの運命だった存在が、今はこうして吉原を飛び回っている。

 これも全て、既に自分の足では立つことすらできなかった日輪という光が及ぼした影響なのだと思うと、興味深い。


 闇に支配されたこの吉原にあっても失われない光──日輪太夫。

 制御は未だにできぬも、それを支配下に置き、その身を守っているのは他ならぬ自身だという事実に、鳳仙は提灯によって赤く照らされた顔に悠然とした表情を浮かべた。

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