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​白 銀 の 戦 慄

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  • 執筆者の写真siversou

[ポケモン]SSというより構想

コジロウ記憶喪失話


 いつもと同じようにピカチュウを捕まえに来たロケット団は、サトシやアイリスの手によってコテンパンにされてしまう。

 各自少し離れた位置に隠れて奇襲をしかけたロケット団はその際、攻撃の余波でバラバラに空へ散って飛んでいった。

 ニャースとムサシはそれでもほぼ同じ方角へと飛ばされた。しかし、残念ながらコジロウだけは一人離れた方角へと飛ばされてしまった。

 しかも、落下した際に岩へ頭をぶつけてしまい、今までの殆どの記憶をなくしてしまう。

 だいたい幼少期の頃まで。

 そして、そんな状態で先に合流したのは、ムサシたちではなくサトシたちであった。

 数時間前に会ったばかりのコジロウに初めは「あ、コジロウ! またピカチュウ狙いに来たのかよ!」と声をかけたサトシたちだったが、コジロウの様子がおかしいことに気付き、話を聞くことに。

 話していく内にサトシたちはコジロウの異変の正体に気がつく。

 子供の頃から、現在に至るまでの記憶がコジロウからなくなっていることに。

 覚えているのは両親からの上流階級としての振る舞いを求められる厳しいしつけや習い事など。

 それを聞き、コジロウの記憶喪失の原因は一応正当防衛であったものの自分たちに非があったため、このまま放っておくわけにもいかないからと、俺たちと一緒に来るか?

 と提案する。コジロウはそれに戸惑いがちに、それでも少し嬉しそうにはにかんで頷いた。

 一方、その頃ムサシたちにはロケット団より指令が下されていた。

 コジロウのことは気がかりだが、指令を無視するわけにもいかず、コジロウなら一人でも大丈夫でしょう!とコジロウを信じ、指令に従いながらコジロウを探そうという話になっていた。



 サトシたちと共に旅をすることになったコジロウは、見た目は大人のまんまであったが、中身はお坊ちゃんなコジロウ。

 持ち前のポケモン好きと、サトシのポケモンホイホイ体質によるエンカウントから、ポケモンを新規で二体仲間に加えていた。コジロウの感覚ではお友達。

 そして、旅の途中でサトシたちはどこか泊まるところはあるかなーと話、それに反応したコジロウは、ここはどこのあたりなのか聞いて、近くに別荘があることを話す。

 コジロウの過去を知っているだけに、サトシはそんなところにお邪魔してもいいのかとコジロウに確認をとるが、コジロウはルミカとの婚約から逃げてロケット団入りしたことを忘れており、その事情を知らないアイリスたちはサトシの提案を訝しむ。

 コジロウはサトシの言葉が遠慮からくるものだと考え、笑って大丈夫だとこたえて別荘まで案内した。

 そこでコジロウはガーちゃんと再会を果たす。

 コジロウのことをたいそう大切に思っていたあの爺が、コジロウを探す目的でちょうどその別荘に訪れていたのだ。

 コジロウの匂いに反応してくれるかもしれない、と、コジロウの愛犬、ガーちゃんを連れて。

(チリーンは体が弱く、別の地方まで連れてくるのはコジロウの意思に反するだろうと連れては来なかった)

 数日前まではコジロウを探してルミカも来ていたと爺は話したが、上流階級としてどうしても参加しなければならない催しがあるということで、丁度タイミングよく、ルミカはイッシュにあるこの別荘から、カントーへと帰っていた。

 そんなこんなで別荘についてガーちゃんと再会したコジロウは、それこそ記憶が退行していたので大喜び。

 一人と一体の再会を心の底から喜ぶ様に、それを見ていたサトシたちは仄々とした気持ちになった。

 これがあのコジロウなのか、これが本来のコジロウなのか、もしかして、普段も自分達が知らないだけで、こういうところがあるのだろうか、と。

 サトシやピカチュウは懐かしいな、この感じと笑い合っていた。

 ガーちゃんと一頻り戯れたあとにルミカの話を聞き、最初は記憶になくても何故か寒気がして、と怯えを滲ませたコジロウに、サトシはどれだけルミカのことが苦手だったんだと思った。

 そしてサトシもかつて出会ったルミカという少女のことを思い出し、ブルリと体を震わせる。

 そんなサトシの様子を不思議に思い、どうしたのかと問いかけてくるデントにサトシは「いや、ちょっと昔のことを思い出して……」と言葉を濁す。

 まぁ、そういうことならいつルミカが帰ってくるかも定かでないと、サトシたちは一日だけ泊めてもらい、翌日には早々に別荘をあとにすることにした。

 記憶をなくしているコジロウはガーちゃんと離れる理由や必要性を思いつかず、一緒に旅に連れて行くことを決意。

 基本ガーちゃんはボールに入れていなかったので、サトシのポケモンと同じように外に出して旅をすることに。

 コジロウたちが屋敷を出て数時間後、自家用ジェット機で別荘へ舞い戻ってきたルミカは、爺からコジロウの話を聞き、「コジロウ様は何処に~~~~」と、その声だけは可憐に聞こえる叫びを森の中に響かせた。

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