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​白 銀 の 戦 慄

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執筆者の写真siversou

[銀魂]【四龍】三巻

連載していたけれどもサイト移転際に移動させなかったシリーズ

【四龍を統べし者】計八話


あらすじ

赤・青・紫・黒の四体の龍の力をその身に宿す人。

それら全てを統べるのは銀色の体を持つ龍。

かつて天より舞い降りたこの銀色の龍は、人を愛し慈しんだ。

だが、人には恩を仇で返され、今、打ち滅ぼされんとしたその時、天より、銀とは違うそれぞれ四体の龍が姿を現した。

この龍達は銀龍の事を深く愛し、助けたいと願う。

だが、銀龍はこれを断り、龍達はせめてとその銀色に四人の忠実な部下を与える。

今、銀龍を主にこれら四人の戦いが始まる――――――――

(【暁のヨナ】パロ)


銀魂 龍 坂田銀時 神楽 新八 桂小太郎 高杉晋助 土方十四郎 沖田総悟 神威






その時、天より空を舞い降り立つ四つの光がかつて銀龍であった《白龍王》を包まんとした。


―銀よ

 そなたを迎えに来たぞ


―信愛と学びを忘れた人間など

 いっその事我々の手で滅ぼし、また天界へと帰ろうぞ


人間の事を、もういっそのこと焦がれんばかりの勢いで愛し、かつて自からの地を去って行った銀龍。

人を心から慈しみ、銀色の輝きを持っていた龍は、その丈夫な体を捨てた。

人間へ知識と育みを与え、心から愛しんだ人に尽くしてきた銀龍。

そんな心優しき銀龍の為、四龍はその身を動かす。


今まで数々の恩栄を受けてきたはずの人間達が、その心優しき龍に牙を向けた。


その様を見て、龍は銀龍を想い―――――---

なんとか銀龍を我が天界へと帰って来てほしい。

そう、龍達はそれぞれに強く願ったし切望した。


だが――――――――――――


『・・・・・イヤだ』


銀龍はそれに応じようとしない。

龍達の瞳を優しく射て、訴えるような視線を己を想ってくれた四龍に絡まらせる。


『我の体は既に人。人に憎まれ、人に裏切られようと、我は人を愛さずにはおられない』


分かってくれ、解ってくれ。俺はかつて四龍を愛した。

だが、それはかつて俺が龍であったから。

俺、今は《人》なんだ。

もう天界へは帰ることなんて出来ない。

まして、人を恨むことなんて、とてもじゃないが出来ないんだ。


かつて龍であった者は、確かに今や完全たる《人》であった。

今は懐かしき『我』の人称も、この地に降りてからは使ったためしがない。


それは、何より人を心より愛したが為。

少しでも《人間》に親しみをもって接してほしく、『我』と言うお堅い人称も、今ではすっかり慣れてしまった『俺』と言う人称に変えた。


あぁ、何年振りであろうか、この感じ。

龍達はそれぞれを愛し、愛された。

懐かしい。

だが、それはもう過去のもの。

今、俺は《人》なんだ。


銀龍が四龍を愛し想うように、銀龍は同じように《人》をも愛し、今その身打ち滅されんとしても尚、それを否定する事は無かった。

龍達もまた、そんな心優しくも哀れな龍を愛し、失いたくはないと強く願った。


赤・青・紫・黒の四体の龍は、【銀色】の龍を守る為。

人間の戦士に自らの血を与え、それぞれに力を齎さんとし、今はその場を去る。




光は消え、先程までは四体の龍がこの場にいた事を、今や全くと感じさせない静けさが、この場の空気を包む。


分かって・・・・・くれたか。


なんに対しての安堵か、フッと溜息が落ちる。

そこへ降りてきた気配。


「白龍王、その身柄確保させてもらう」


―――――――――――とうとう、この時がきたか。


辺りは、気が付けば軽く五百は超こえる兵に囲まれていた。


「解った」


口元を微かに緩めながらも、不思議と人に対しての憎悪など、この心内には一つも沸かない。

本当に人間の事が好きなんだな。


どこか他人事のような事を、両の腕を拘束されながらも頭の隅に思う自分がいた。

そして、せめてもう一度だけでも良い、

人間界に存在した甘味を食したいと、そんな場違いな事を思う自分もいた。


自嘲が込み上げてくる。

なんて場違いな事を今考えているんだろうか、と。

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