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​白 銀 の 戦 慄

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執筆者の写真siversou

[銀魂]【無から】01.引き導く温かさ

連載していたけれどもサイト移転際に移動させなかったシリーズ

【無からの始まり】一話



野畑が広がるその景色

そこには

小さな白い影と、大きな黒い影が、二つ並んであった。


松陽は今、自分の隣を何も言う事無く歩いている小さな幼子を見下ろす。

まだ、年端もいってはいないだろう。


先ほどまで、この仔は普通の子ならばいる筈の無い場所にいた。

それはとても悲しい事。

それを解っているのか、解っていないのか。


幼子は何も言わず、口を開こうともしないまま、自分の差し出した手を掴んでここまで付いて来た。



その姿は、血に濡れていながらも、何処か純白の色を思わす。

これはこの仔の色の為か、それとも、悪意の一つも持たない瞳の奥、心と言う物の色なのか。


そんな仔を、鬼などと恐れ戦おののき恐怖した者達の事を思うと、

自分の事ではないのにもかかわらず、胸が苦しくなってきてしまう。


松陽は隣にいる幼子の境遇を思い、幼子と繋がってはいない手のひらを自分の胸に当てた。


「・・・・・・・・・・・・・・」


いつの間にその歩みが止まっていたのか、幼子は松陽の顔を深紅の瞳で見上げていた。


松陽はこの仔に図らずとも心配をかけてしまった事実をしり、慌てて悲しそうな表情緩める。

それを見て、幼子もどう思ったのか、先ほどと同じように前方に顔を向けた。


こんなにも、人の感情に敏感な仔が

今まで鬼として罵られてきた。


どれだけ傷ついたのか

いや、それとも傷つくという事すらも、今のこの仔にはありえないことなのか。


一歩、また一歩と

再び歩みを進め、幼いその手を引く


その手を引かれ、その幼子は

今は何一つ持たぬ仔は

一体何を思うか

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