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​白 銀 の 戦 慄

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執筆者の写真siversou

[銀魂]【無から】05.何時の世も

連載していたけれどもサイト移転際に移動させなかったシリーズ

【無からの始まり】五話



巳の刻。

今で言う十時前後の頃。

松陽の声を合図に塾生達はそれぞれ自分の席に着く。


「おはようございます」

《おはようございます》


松陽は教室に入ってきて、まずは挨拶をする。

そして、それに元気良く挨拶を返す塾生。

お手本のような光景だ。

先生に生徒。

教える側に学ぶ側。

まさに理想。


「今日は皆に・・・・・・・・小太郎。晋助と・・・・・・・何かありましたか?」

「いえ、何も」


・・・・・・・・・一つだけを除けば。

そのたった一つ、理想と違う所。

そう、晋助だ。


「そうですか? なら良いんですが・・・今日は皆さんに紹介したい子がいるので、小太郎、晋助を蹴り起こしてあげてください」


未だに壁際近くで伸びている晋助。

松陽はそこへ視線を向け、優しく微笑んでからさらりとSを感じさせる発言をする。

この時、松陽先生は絶対にこんなキャラではないと言い切るそこのアナタ!

今すぐこの場から立ち去ってくださいまし。

これから先、さらに崩れ行く可能性多有りですよ!?



・・・・・・・・・・では、逃げる方は逃げてくださいましたね?


「それでは、小太郎。よろしくお願いします」

「分かりました」


スクっとその場を立ち上がり

スタスタスタと

そして、ドカッ!!


「痛っ!?」


いきなり横っ腹に衝撃が走り飛び起きる晋助。

辺りをキョロキョロ見渡す。


「晋助、おはようございます」


「お、おはようございま・・・・・・・え? 松陽先生!? え、えっえ? なんで・・・・!」


途中まで言いかけ、松陽の突然に驚きを隠せない。

まぁそりゃそうだろう。

晋助にとってはさっきまで松陽先生のいなかった時間が、いきなり今に飛んでしまっているわけなのだから。


「貴様は馬鹿か、もう時間だぞ」

「目は、覚めましたか?晋助」


そんな晋助に小太郎は嫌味な顔をし、松陽は微かにそれを見て楽しんでいる表情を浮かべた。

晋助反応は君等二人のせいだというのに、その自覚が無いのか、二人を問いただしてみたい所だ。


「は・・・・・・・・・・・はい」


もちろん、晋助は松陽先生に文句など言えることもなく、松陽先生に返事を返してから、自分の席へ慌てて着く。

(へタレだな)


「晋助も目を覚ました所で、今日は皆に紹介したい人がいます」

晋助が席についたのを見てから、松陽は先程言おうとしていた事を口にした。


「先生! それは新しく入ってくる子供がいるってことですかぁ?」

「そうです」


その言葉を皮切りに、塾生のテンションは急上昇。


「先生、それは女の子ですか!?」


一人の男子がそんな事を聞く。

何時の世も、こういう事はテンションが上がるものなのか。


「いえ、女の子ではなく男の子です」

それを聞き喜ぶのは松下村塾に通う数少ない女の子。


「けれど、その事は本当に可愛いです。というか、可愛すぎて昨日なんかもう・・・・・・」

「・・・・・・先生?」


言葉を途中で切ってしまった松陽に心配をした塾生の一人が声をかける。

だが、その声を聞いてから発した松陽の言葉は・・・・


「危うく私は昨日、萌死する所でした//////」


危ないオッサンのそれ。

その女とも見まごう美貌を、松陽はたったその一点だけで台無しにしてしまっている。


それさえなければ本当に完璧だというのに・・・・・

だが、松陽のそんな言葉に塾生は素直に声を上げている。


「可愛いって!! どんな子だろ!?」

「小太郎みたいな子じゃねぇか?」

「あぁ、性格以外はアイツも可愛いからな」

「俺は小太郎の性格ごとアイツが好きだ」


所々聞いてはならないような言葉が聞こえたが、塾生は松陽の言葉で新しく入ってくる子供に期待を抱いたようだ。

そんな子供達の様子を見て、松陽は微笑みながら口を開いた。


「銀時」


その言葉を耳にし、塾生は前の入り口の方に視線を向ける。

松陽が声を上げてから、数秒後、扉の向こうの方から足跡が聞こえてきた。


一体どんな子だろう。


そんな期待を抱えながら、皆はその子が表れるのを待つ。

そして、丁度十秒がたった頃、その子は姿を現した。


その者は、銀色に輝く綺麗な髪をあちらこちらに舞わらせ、まさに言葉どおり、透けるような美しい肌を持ち、その瞳は赤く輝きクルリと愛嬌のある顔立ちをしていた。


《・・・・・・・・・・・・・》


塾生は、皆が皆、口をポカリと間抜けにも開けっぴろげ、その者を見つめる。


「ホラ銀時、ここに来て挨拶を」


松陽はそんな塾生達の反応に満足したような笑顔を浮かべ、その者を自分の直ぐ横に招く。

そんな様子を、軽く呆けた様に眺めていた者が、実は一人だけ、この場にいたりする・・・・・・・・・・・

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