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​白 銀 の 戦 慄

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執筆者の写真siversou

[銀魂]【無から】06.甘い匂い

連載していたけれどもサイト移転際に移動させなかったシリーズ

【無からの始まり】六話



「あ、あれ男の子だよな?」

「え、男の娘の間違いだろアレ」

「いや、コレ小説だから分かったけど、男の娘はいくらなんでも酷くねぇか?」

「でもアレはどう見ても・・・・・・・」


ザワザワとざわめき立つ塾生達の声が聞こえる。

勿論その話題の中心人物は・・・・・・・・・・・・・・・


「銀・・時。よろ・・・しくッ」


どこかぎこちなさを感じはするものの、ペコリとその愛くるしい顔でそのようにして頭を下げるから、塾生達は辛抱たまらずその席を立ってしまう。


「お前銀時って言うのか!」

「何処から来たんだ?」

「俺はお前の事が好きになった!!」

「ちょっ、ドサクサ紛れに今誰が言った!?」

「そうだぞ!それは最初に俺が言おうと!」

「貴様等何を考えている! 銀時と初めに友達となるのはこの俺だ!」


小太郎だけは若干ズレてはいるようだが、それぞれはそれぞれに、銀時に興味を持ったようだ。


「俺と付き合ってくれ銀時!」

「だから誰だ! さっきから変な事言ってるのは!!」


時折聞こえてはならない・・・・・・・・

いや、聞きたくもないようなセリフが聞こえるが、そこはあえてスルーの方向でお願いしたい。


「銀時、俺と結婚してくれ! 一目見た時から俺にはお前しかいないと解ったんだ!」

「まだあって間もないだろ!?」


押し合いひし合い、銀時へ必死に詰め寄ろうとする塾生達。

もはやその光景は凄まじかった。


小太郎は銀時の貞操を守らんと前に出たばかりに、今ではもう塾生達の山に下敷きとなっている。

だが、銀時は相変わらずキョトンとした顔でその様子を眺め、一行に行動に出ようとはしない。

故に、その転校してきた可愛らしい女の子の初々しい行動っぽいそれに、塾生達は尚のこと熱を上げる。


ある者は他人ひとの顔を押し蹴りながら銀時の前へ出て己を誇示しようとし

ある者は「一体何処から持ってきたのだその花束は」と問いたくなる花々の数を手にし

ある者は授業中隠れて食べる予定だった饅頭を手に銀時に近付こうと画策する。


スッ


そんな塾生達は差し置いて、一人行動を起こす者。


「松陽先生、アレ・・・・じゃなくて銀時か。銀時は一体何処いったいどこで拾ったんだ」

松陽の横へ来て、その者は一つ確認を取る。


「んーーーっと」

人差し指を自分の頬にあて、教室の天上を見て悩む松陽。


「悩むって事は答えられないってことか・・・・・てか、嘘をついてまで答えて欲しくねぇよ先生」

「いやいや。私は別に嘘をつこうだなんて思ってはいませんよ」


ジト―――――ッ

信じられない、とばかりに睨まれては仕方がない。


「まぁ良いじゃないですか。ところで、晋助はあの中に入ろうとは思わないんですか?」

「入った所でヅラのようになるのは眼に見えてるからな」

「えらく物分りの良い」


松陽は意外そうにそう言うが、私たちから見れば、それは意外でもなんでもない。

晋助はただ、松陽先生の傍にいたかっただけだ。

全く。

これだからツンデレ甘えんぼさんは仕方がない。

だが、そうこう松陽と晋助が話している間に、目の前の状況が動いた。

銀時が、その場にただポツンと立っているのは止めて、どうやらある一点の場所に向かって歩き出したようなのだ。


その方向は―――----

ある一人の塾生の前。


キョロッキョロッ


辺りを慌てて見渡すが、その野いちごのように真っ赤な瞳をさすのは自分。


「えっ・・・・・お、俺?」


何故さっきまで違う所に立っていた銀時が、いきなり自分の所に向かって歩いてきたのか。

塾生は人差し指を自分に向け確認を取ってみた。

当然、それに対しての返事など返る筈もなく。

だが、今はそんな事どうでも良い。


「コ、コレ良かったら食ってみてくれ!!」


その塾生は嬉しさのあまり自分の分を取っておくのも忘れ、銀時の目の前に饅頭まんじゅうをスッと差し出す。


しーーーーーん


しばしの間、なんとも言えない様な沈黙がこの教室を包む。

そして・・・・・・・


パクッ

そんな効果音を立て、銀時はその塾生の手の上に置かれてあった饅頭を食べてしまう。


《っ~~~~~~~~~~~!!》


勿論、コレにはこの場にいた・・・・・・・

そう、この場にいた全員が悶絶した。

とりあえず、今日はここらで打ち止めとしよう。

この素晴らしい光景を眼に焼き付けて・・・・・・・・

銀時がいかようにして饅頭を口にしたかは、それぞれの想像に任せるとしよう―――――-----

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