連載していたけれどもサイト移転際に移動させなかったシリーズ
【逆行の記憶】一話
その日は何となく町をぶらついていた。
けど、少し遠めに会いたくもない奴等の車を発見してしまった。
「んだよ、今日はついてねぇーなぁ」
頭をかきむしりながら溜息を吐く。
ふともう一度頭を上げてその車の方を見やれば、ボールを追いかけて一人の少年が車の前に飛び出していた。
「危ねぇっ!」
思わず体が反応していた。
何とか少年を腕に収め助ける事は出来た。
だが、助けたは良いが次の瞬間、頭に大きな衝撃が走った。
「土方さんいい加減タバコ止めてください。ったく、周りの迷惑考えろってんだ……っち」
「っるせーな。別に誰にも迷惑かけてねぇーだろうが!」
真選組のパトカーの中で何時ものようにくだらない喧嘩をしている二人。
土方は沖田の注意に気を取られ運転がおろそかになってしまっている。
そんな二人が乗っている車の前にボールが転がり出てきた。
だが、二人は気づかない……
子供がこちらに気が付く。
車が直ぐそこまで迫っていた。
ボールを拾い上げたその少年は、ボールを顔の前に出して次に来るであろう衝撃に身構えた。
が……
少年が車の前にいることに気づいたときにはもう遅かった。
もう土方達も駄目だと諦めた時。
「危ねぇっ!」
少年の姿は瞬く間にその場から消えていた。
銀色の光が車を横切る。
間一髪で誰かが身を挺して少年を庇ったのだ。
その少年を庇った者は大きな音を立てて向かいにあった電柱に頭をぶつける。
土方達は慌ててその者に駆け寄った……
Comments