連載していたけれどもサイト移転際に移動させなかったシリーズ
【逆行の記憶】二話
頭が痛てぇ……って、あれ?
どうしたんだっけ?
あぁそうだ、屍の足に躓いてしごけたんだった。
頭を押さえながら体を起こす。
直ぐ近くに声がする。
「あ、あの」
その声は子供のそれだ。
その声の後に大人の声が聞こえた。
「あー、さっきは悪かったな、こっちも前を見てなかった。こいつのことは気にするな、死んだりなんかしねぇよ」
それを聞き安心したのか
「はい!」
と元気良く声を上げて走り去っていった。
足が遠のく音が聞こえて静かに目を開ける。
目を開けたそこに広がっていたのは瞳孔の開いた目をしている黒髪ストレートの端正な顔立ちをしている男と、栗毛色のえらく可愛らしい顔をしたストレート髪の青年が目の前に立っている光景と、その男達の後ろに広がっているこの世のものとは思えない様な世界だった。
しばらくそれを見ていた俺は、その男達が俺に向かって足を踏み出したのに気が付いて警戒した。
そいつ等は全身黒い変な服を着て腰に刀をさしていた。
殺気は感じねぇ。だが……
俺は脇に抱えていたはずの刀に手をかける。
スカッ
ない!?
どこいった!?
そうこうしてるうちに目の前の男が俺を見下ろす。
めんどくさいけど聞いてみるか……
万事屋が子供を庇って電柱に頭をぶつけた。
めんどくせぇー奴に借りが出来たな……
俺は少し溜息を吐きながら万事屋に近付いていった。
総悟は俺がヤローになんと言われるか想像して後ろでニヤニヤしてやがる。
「あ、あの……」
銀時が庇った少年がヤローを心配そうに見て声を上げる。
「あー、さっきは悪かったな、こっちも前を見てなかった。こいつのことは気にするな、死んだりなんかしねぇよ」
それを聞き安心したのか、少年嬉しそうに顔を緩めて何処へともなく走り去っていった。
改めてやローを見る。
頭をさすって体を起こしたようだ。
少年の姿が見えなくなった頃、ヤローゆっくり目を開けた。
目を開けたかと思えば目を見開き辺りを見渡す。
周りを確認していたかと思うと俺達を見てなぜだか脇の辺りを手で仰ぐ。
ヤローはそれに慌てた様子を見せた。
だが、直ぐ様こちらに向き直ると仕方なしにと言った表情をして俺に一言信じられねー言葉を発っした。
「俺を、殺りに来たのか?」
その瞬間、その場に大きな風が吹き荒れた……
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