連載していたけれどもサイト移転際に移動させなかったシリーズ
【逆行の記憶】八話
「教えろ」
「「ハァ?」」
警戒を解いたかと思えばまた意味の解らない事をほざきやがる目の前の男。
俺達が「何を?」ていう表情でも浮かべていたのだろうか、より詳しく何を教えて欲しいのかを言うヤロー。
「この時代の事と俺の情報だよ。他に何があるってんだ?」
まるで俺達を挑発してくるような言い方は今の対して変わらない。
俺は思わずキレかかりそうになった。
が、なんとかそれを耐えて見せた。
(落ち着け、落ち着け……相手は一応ガキなんだ。ここは大人の余裕を……)
だが、後ろから聞こえてきた言葉に俺は我慢の限界を超えたのだろう、何の迷いもなくキレてしまった。
「犬の餌ばっかり食ってるから頭が油まみれになるんでェ」
ブチッ
「総悟! おめぇも「ハァ?」とか言ってたじゃねぇか! てかマヨネーズを犬の餌呼ばわりするんじゃねぇぇぇぇぇえ!!!!」
総悟に剣を振りかざそうとしていた後ろでは、マヨネーズという言葉を聞いて小首をかしげている奴の姿があったとかなかったとか……
場所は真選組屯所。
「万事屋が記憶喪失って本当か!?」
「旦那が記憶喪失って本当ですか!?」
襖を勢い良く開けて入ってきた近藤さんと、その後を付いて走ってきた山崎の大声が部屋に響き渡る。
俺はとっさに耳を押さえた。
だが少し遅かった。まだ耳がキーンと言っている。
万事屋のヤローは対応に遅れたのか、固まってしまっている。
「旦那大丈夫ですかぃ?」
総悟が面白半分でヤローの顔の前で手をひらつかせる。
だが反応がない。
総悟は何を思ったのか銀時の頭を掴もうとする。
サッ
瞬間、ヤローは凄い速さで後ろに飛びのき総悟から離れる。
そして冷めた目で総悟を見て言う。
「てめぇ、俺の頭を掴んで投げ飛ばそうとか思ったろ……」
それを聞いて肩を竦すくめる総悟。
どうやら図星のようだ。
(総悟はだから頭を掴もうと……)
一人そんな事を納得していると、総悟が驚いたとばかりに目を大きく見開き、ヤローに一つ質問をした。
「旦那ァ、俺が頭掴んで土方コノヤローに投げようとしていたのをよく解りやしたねぇ~」
途中、変な言葉が混じって聞こえたが、それはきっと気のせいだ。
だが、確かに総悟の言うとおりあの動きは以上だった。
総悟の言葉を聞きこの部屋にいる全員が、ヤローに目を向けた。
コメント