連載していたけれどもサイト移転際に移動させなかったシリーズ
【逆行の記憶】九話
思わず感じてしまったどす黒いオーラに反応して、その場を飛びのいた銀時に痛いぐらいの視線が注がれる。
銀時は今まで感じたことのないタイプの視線に頭が混乱する。
というか軽くパニクってしまう。
(なんでみんな俺をそんな鋭い視線で見るわけ? 俺殺気とかは分かるけどその視線の意味分かんねぇんだけどォォォォォォオ!?)
俺は一瞬混乱しそうになった頭をクールダウンさせた。
(たしかあの茶髪の奴は何でそんなんが解ったのかとか聞いてきたよなぁ……じゃぁこの視線はみんな俺にその答えを求めてるものか……?)
頭を落ち着かせ今のこの状況を理解する。
だが銀時はその質問の意味が分からない。
一生懸命頭を振り絞りその答えを導き出そうとする。
それでもやっぱり答えは出ない。
仕方なく銀時は思った事をありのままに言い放った。
「えーーっと……なぜってそりゃぁ普通分かるもんじゃねぇの?」
予想していたないようとは全く違う答えが返ってきた。
──普通分かるもんじゃねぇの?
頭の中でその言葉にリピートがかかった。
(普通? 普通そんなん分かるわけねぇだろ……コイツの今の精神年齢は六、七なんだよな? って事は、今までコイツはそれが当たり前に身に付いっちまう環境にいたって事……か?)
俺はヤローの言葉と今のアイツの状況を考え軽い推理をしてみた。
だが俺はちゃんとした答えが出てこない。
すると、思っても見なかった人物がヤローに質問を投げかけた。
多分俺と同じ考えだったんだろう。
「万事屋……今のお前にある記憶だけで良いから、お前、今までどういう風に暮らしてきたか教えてくれないか?」
静かに尋ねる近藤。
その目は、これから返ってくるであろう言葉を受け止めようという真剣なものだった……
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