top of page

​白 銀 の 戦 慄

シリーズライン.gif
執筆者の写真siversou

[銀魂]せめて

更新日:2022年1月9日

――――誰かがもし、お前の目の前で死にかけていたなら……お前はどうする?

『んなもん、俺が死なせねぇ』



――――もしお前の前に、お前を殺そうとする者が現れたなら……お前はどうする?

『殺させねぇよ』



――――……もしお前の大切なモノをそいつが壊そうとしたなら?

『そんなこと、させなきゃ良いだけの話だ』



――――そいつを殺すつもりはないのか?

『なんで殺す必要がある?』



――――なんでお前はいつも、他人を護ろうとばかりするんだ。

『そいつが俺の生きる意味だからだ』



――――お前の人生だろう? お前自身のために生きれば良い。

『むかし、俺は約束したんだ』



――――なにを?

『護ってみせる…………大切なモノを護るために強くなる……そう約束した』



――――お前は一体、何を護りたいんだ。

『分かんねー。……でも、たぶん俺は、俺の目の届く範囲の全てを護りたいんだ』



――――何のために。

『意味もなく生き続けていた俺に、あの人は刀を振るう意味を教えてくれた。だから、俺にとっちゃー護ることだけが生きる意味なんだ』



――――なら、それら全てを護りきれなかった場合……お前はどうする。

『そんなこと、俺が絶対させねぇ』



――――だが、この世には絶対なんて夢物語は存在しない

『それでも俺は護りきってみせる』



――――それが例え、お前自身を疎んじる者でもか?

『そうだなぁ、そこはまぁ……ケースバイケースってっことで』



――――……そんなことをこの先もずっと続けていって、お前に一体、何の得があるって言うんだ。

『んなモン、端っから求めちゃいねーよ』



――――お前の言っているそれはただの綺麗事だ。偽善者と同じだ。

『……そうか』



――――本当にお前はそれで良いのか?

『なにが』



―――お前は本当に、これからも他人のためだけに生きていけるのか?

『……それ以外に、俺がこの世を生きてて良い理由がねーんだ。俺がこの世を生きてても良い理由ってのは、自己犠牲という自分の命の利用価値』



――――自己犠牲は、最終的には自分自身のためだとでも言いたいのか。

『あぁ……俺は俺自身のために、この身を犠牲にしてる』



――――…………だとしても、やっぱりお前は偽善者だ。

『そうだな』



――――そう言ってお前は自分を犠牲にしてるくせに、結局お前は俺たちを護りきれなかった。

『…………あぁ』



――――お前の勝手な偽善者な言い分は別に良い。けど……現に護りきれなかった命は沢山ある。ならお前が生きてる価値は一体なんなんだ? そんな価値、あってないようなもんだろうが。

『知ってる。知ってるさ、んなこたー。……んなこと、昔っから知ってる』



―――知ってる? 本当にお前は知ってるのか? 本当に分かっていると、お前は言えるのか?

『…………だから俺は今でも足掻いてんだ』



―――今足掻いたからって、過去を変えることはできない。過去に救えなかった者達を、お前はどうする。

『俺の一生をかけて償うしかねーだろ……』



――――…………なぁ、白夜叉。なんでお前はあの時……俺たちを助けてくれなかった……?

『……あの時は、俺の力が足んなかったんだ』



――――白夜叉と恐れられていたくせに

『白夜叉っつっても、所詮は人間だ。俺は……鬼にはなりきれない』



――――お前は、人ではない。

『……あぁ、俺は生まれながらにして鬼と呼ばれてきた』



――――だが、お前は鬼そのものでもない

『……俺は鬼になりきれない人間だ』



―――どっちにも属さないとお前は言う。……しかし、多かれ少なかれ心はどちらかに分類できるはずだ。なら……お前は果たしてどちらの存在だ?

『……知らね』



――――……? 自分のことなのにか? お前は本当に、それで良いのか?

『別に構わねーさ』



――――中途半端な存在で、どっち付かずの存在であり続ける気なのか。

『……まぁ、この場合だとそう言うことになんのかね』



――――そんな奴なんかに、俺たちは命を預けてきたのか……?

『………………』



――――そんな中途半端な奴に、俺たちはずっと心を寄せていた。

『………………』



――――信じてた……。そんな奴でも、俺たちは信じてた。

『………………』



――――なんでお前は、あの時俺たちを助けることができなかったんだ。

『……すまねぇ』



――――人でもなく、さりとて鬼でもない。偽善者でありながら自己のため。意味のない自己犠牲を、それでもお前は続ける。お前が生きてる意味は……本当にあるのか?

『分かんねぇ…………』



――――白夜叉……お前はいつまで、そうやって生きていくつもりなんだ

『俺の生き方はたぶん、死ぬまで変わんねーと思う』



――――無駄だ……お前の人生は無駄だよ白夜叉。お前に救える命は、ほんのひと握りもない。

『分かってる。それでも俺は、この命続く限り、目に見える奴等をみんなを護り続けていたい――――

閲覧数:2回0件のコメント

最新記事

すべて表示

【DRRR】自由

出だし過ぎて何を書きたかったのか一切思い出せない静雄目線の書きかけ供養。  青い空、白い雲、小鳥は囀り羽をはばたかせる。  さぁ、飛ぶぞ飛ぶぞ。  小鳥たちは二、三羽でかたまり、お互いにそうやって主張し合うかのように羽ばたきを激しくさせていく。...

【銀魂】討ち入り

土方さん、もしくは真選組主役で書こうとした残骸。  兄さんが死んだ。  ミツバが逝った。  伊藤を殺した。  仲間を守りきれなかった。  多くの者を殺した。  多くの者を失った。  だが、それでもアンタだけは、絶対に殺させやしねぇ…… 「……近藤さん、それはやめとけ」...

【銀魂】異三郎と銀時のやり取り

見巡組と万事屋たちの絡みが見たくて書きかけた小説の供養 「なぁ、まだつかねーの? 一体何時間車に乗ってればいいわけ?」  頬杖をつき、窓の外の景色を眺めながら問いかける銀時は、少しだけいつもとは違って見える。 「すみませんねぇ、後15分くらいですからもう少し待っていてくださ...

Comments


bottom of page