さて、早速だがここ江戸には、歌舞伎町という一つの街がある。
活気にあふれ、人だけでなく異形の者、天人たちも行き交う賑やかな街だ。
とはいっても、もちろん人型のものだけがこの街を行き交うばかりではない。
犬や猫、鼠や小鳥なども当然この街の中をあっちへこっちへと行き交っている。
ボス猫のホウイチも、その中の一匹だった。
半年ほど前に色々あった。
自分が一方的に思っているだけかもしれないが、あの「友」はとても変わったやつだった。
自分も大概普通ではないと思っていたのだが、その「友」に比べれば大したものでもなかったのかもしれない。
自分よりも若い小僧っ子のくせして、自分よりも多くの経験を積んでいるようだった。
そのことに驚きはしたが、妙に納得したのも事実。
(……そういやギンの奴、ここ最近姿を見ねぇな)
なつかし「友」の顔を思い浮かべ、ホウイチが歩いていた時だ。
”それ”の気配を感じ、ホウイチは耳を立てて周りの様子を窺った。
「…………」
意識を集中させ、微かな物音に耳を澄ませる。
「……こっちか」
猫以外にはニャーとしか聞こえない鳴き声を上げ、ホウイチは身に覚えのある気配のする方へと足を向ける。
ホウイチと銀時様の話を考えていたはず。このあと、どんな想像をしていたのかはとうに忘れた。
自分へ。続きが気になります。書いてください、バカ。
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