天気のいい昼下がり。
ヘッドフォンから流れる音を河上万斉は聞いていた。
シャカシャカシャカ
そのヘッドフォンから漏れ聞こえる「シャカシャカ」言う音に、だんだんイライラしてきた来島また子は、キィィィと開いた扉の音を引き金に、勢いよく万斉へと向き合った。
「先輩、いつまで『シャカシャカ』聞いてるんッスか! もう良いッスよ、『シャカシャカ』音は!! 私たちが小説版に出てから一体どんだけ経ったと思ってんッスか!! いい加減飽きないんッスか!?」
ツッコムまた子の後ろを、左手に買い物袋、右手で扉を閉めた岡田似蔵が通った。
「この小説の中では一ヶ月も経ってないでござる」
小説版では「シャカシャカ」の音でまた子の声が聞こえていなかったようだが、今回はそんな事もなかったようだ。
あの時よりも多少は音量を下げていたのだろうか。
それでも万斉のヘッドフォンからは頻りに「シャカシャカ」という音が漏れ聞こえ続けている。
「こっちの話じゃないッスよ! あっちの話! 今私が言ってるのはこっちの時間じゃなくて読者側の事ッス!」
「『こっち』に『あっち』と、抽象的でござるな。もっとズバッと〈ピー〉と言えば良いでござる」
「ほらぁ! ズバッと言うから今ピー音入ったじゃないッスか!!」
吠えるまた子の横で、岡田似蔵は左手に持っていた買い物袋を掲げて、ソファーで寛いでいた男に話しかけた。
「晋ちゃん、ラス1のコロッケパン買ってきたよ!」
3-Zな高杉一派好きなんだよな。
って考えながらここまで書いたっけな。
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