ボツ1を見失い、書きかけたが、これまた適当すぎるなと思い、ボツにしたやつ。
依頼人のこと、またその依頼内容。
それを一から十、しっかりと銀時へ伝えた新八は、一息入れ用と机の横に寄せていたコップに手をかけた。
「へー、俺の留守中にそんな依頼が、ねぇ」
口元についていたクリームを舐めとり、そう言った銀時はガラス越しの景色に目をやった。
「……」
「……」
「……」
「……もう帰るか」
「え!? 依頼人にあってかないんですか!?」
唐突な帰宅宣言に、新八は思わず声を上げた。
しかし、二人がいる場所は大江戸図書館が誇る飲食階スペース。
基本が本を愛し、読書を楽しむためにと併設された空間のため、新八の驚愕の声は周囲の冷たい目を集めた。
読書時間をなるべくでも確保するため、食事にかける時間を最小限にする目的で図書館内に併設された、本好きのための飲食階は、一応は飲食店の体をなしているが、その実態は食事中であっても本を読みながらや、短時間で食事を済ませようとする者たちが多く集まる。
図書館内でありながら、本を読む専用の場所ではあらず。
かと言って、決して騒いでも良いような場所ではない。
新八は周囲から向けられる冷たい視線に耐え切れず、肩を落として謝罪を示すために頭を周囲に何度か下げた。
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