光の差し込まない暗い部屋で、まだ十にも満たない少年は薄く目を開けた。
自分は本当に不幸なやつだ。ただ漠然とだがそんなことを思う。
少し身動ぎをするだけでジャラリと音を立てる鉄の蛇に、少年は呆れの混じった溜息をついて頭を振る。
頭を振る振動でも蛇はジャラジャラと唸ったが、それも少年が動きを止めれば止んだ。
少年はまた蛇を見遣り、ゆるゆると込み上げてきた睡魔に大きな欠伸を漏らす。
膝を抱えて大きな口を開けた少年は、傍から見れば間抜けにも映るが、今この場には少年しかいない。
これ幸いと、少年は目に涙を浮かべるほど大口を開けて、込み上げてきた睡魔を口から外へと押し出した。
開いた口を閉じれば先程まで少年の内で燻っていた眠気は霧散し、次に襲い来るのはどうしようもない空腹感。
腹へ手を当てれば、腹の虫がか細い声を上げた。
闇に覆われた天井を見て、少年は今日から数日間のことを考える。
「……今日は外に出る日か」
普段は鎖に繋がれて幽閉されている子供の日常には、定期的に外へ出て暴力を与えられる数日間がある的なストーリーを考えていたきがする。
Comentarios