鳥が何処かで鳴いて風が吹く。
暖かいようで涼やかな風は、衣を静かに揺らめかせた。
しかしここで鼻をつくのは豊かな緑の香などではない。
辺りに立ち込めるのは風化し腐った屍の死臭。
ここには麗しく鳴く愛らしい小鳥など存在しない。
存在するのは醜く醜悪に鳴き続ける黒い鳥……否、この表現はこの場では不適切か。
より正しく表現するなら、腐って身を削った屍の体を汚らわしく貪り食う悪食な死神だ。
バサバサ音を立てて空を舞う姿は、死神が黒き衣をはためかせ新たな標的を見定めているかのよう。
まさに死の鳥、
腐った屍の臓物を、嘴で抉っては貪り喰らう。
五臓六腑ぶ湧き出る蛆は、その白い身を二分され、体液を撒き散らした。
死の国に君臨するがごとく悠然と空を舞う姿は、何者もを圧倒し、その禍々しい体の黒で薄気味悪さを演出している。
彼らのナワバリには、いつしか死体の山が折り重なるようになっていた。
幾日々、幾月、幾年。
どれだけ時が過ぎようと、それは変わらないはずであった。
いつもと何一つ変わらない日々に、その日、逢魔が時、彼らの平穏を脅かす一石が投じられた。
ドサリ
地面に放られ、聞こえた音は、体に鈍重な痛みを走らせた。
「もう我慢できん。お前はここで死んでカラスどもの餌になれ」
高らかに響く男の声。
男は自らが放った小さば布袋にそう吐き捨てた。
男の声は、どこか狂気じみていた。
「…………っ」
男の放つ狂気じみた殺気。
それに反応し、土で汚れた布袋が小さな動きを見せる。
その振動で布袋の口が開き、中身が覗いた。
中には小さな幼子の姿があり、あちらこちらに赤が滲んでいる。
屍を喰らう鬼時代の銀時様には夢が一杯詰まってますね。
こんな妄想ばっかしてた学生時代が懐かしい。
なんなら今でも想像するのが楽しい。
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