「銀さんほら、あれですよ。春雨事件のときの」
そこで何かを思い出したのか、銀時は依頼人に顔を向け依頼内容の確認を始めた。
「あー、はいはい、思い出しましたよ。それで今日は何です? またハム事件か何かですか? ハム子さん」
普段はツッコミ役の新八も、これにはツッコミを入れなかった。
「彼氏はどうしたんですかハム子さん」
銀時のあとに続いた新八の言葉に、軽く青筋をこめかみに浮かび上がらせる依頼人。
「どーせ逃げられたんだろ? んで、俺たちに何を頼みに来たんだ?」
と、ここまで一方的に話しかけられていたハム子──公子は、銀時たちより一段と大きな声で言葉を紡ぎ出す。
「まずは私の名前を覚えてもらいたいんですけどー。てか、依頼人にその態度はなに? アタシ仮にも依頼人!!」
最後のほうで声を張り上げたせいか、いや、おそらくはそうなのだろうが、喫茶店の中が静まりかえる。
「まぁ、依頼の話に戻るけどー、さっき銀髪が言ったことはあながち間違ってないんだよねー。太助のやつどっか行って行方不明になっちゃってさー。これってマジでやばいよねー。ってことで太助の捜索頼みたいんだけどー」
いつの間にかさっきまで静まり返っていた店内はまた賑やかになっていた。
「その依頼引き受けたぜ、ハム子」
「いや公子だから。あ、あともう一つ依頼があるんだけど」
「なんだよ? 報酬も追加でちゃんとくれるんだろうな?」
「さっきの件とプラスで報酬を追加で出せたりはしないけど、パフェあと四つまでなら奢ってやる」
その言葉を聞いた途端銀時の目の色が変わった。
「なんなりと」
「絶対に逃げたり却下したりするのはなしよ」
「もちろんです」
「変わり身はやっ。知りませんよ、どんな依頼だったっとしても」
新八の言葉はすぐに公子の声で遮られた。
「二週間だけ私の彼氏になって」
銀時は言葉を失った。
万事屋は太助探しと公子の彼氏のフリで大忙しだった。
もちろん、太助探しは新八と神楽である。銀時は……
「えー、と……なんで俺を彼氏役に?」
やや硬直気味の銀時が公子に聞く。
「この前の太助の事件の時にね、やば、ちょっとカッコいいかもって気になったから」
「……」
銀時は無言だ。
「でね、太助が見つかるまで彼氏代行ということにして品定めしてんの」
この設定というか、公子に彼氏代行の依頼されるネタはたしかに読みたいと思った。
これ書いたときの記憶はない。
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