なんとなく思いつくままに書いた系の短編の書きかけですね。
自分がなんとなく思いつくままに書く作品というのは、どうにもこういったものばかりになってしまう。
きっとこれが私の書きたいもので、伝えたい感覚で、読みたいもので、癖なんでしょうね。
松陽先生と銀時様が登場してる書き殴り短編の書きかけ供養ですが、よろしければ御覧くださいませ。
初めから知っていたことだけど、やっぱり俺は、嫌われ者みたいだ──
「銀時、そこで何をやってるんですか?」
松陽はしゃがんで茂みの一部に視線を落としていた銀時に声をかけた。
「別に……見てるだけ」
松陽の呼びかけに、一度は顔を上げて松陽を振り向いた銀時だったが、そう言って満足したのか、すぐにまたその視線は元の場所へと戻る。
「そうですか」
(雨が、降りそうですね)
空がだんだんと陰り始めていた。
心中独り言ちた松陽は、そろそろ中には入ればどうかと銀時に声をかけようとして──やめた。
無言で何をするでもなく、銀時は視線の先にあるその一点だけを見つめているのだ。
松陽は気になった。
銀時が見ているものは何なのか、と。
縁側から庭へ下りた松陽は、静かに銀時へ近づき、背中越しにそれを確かめた。
「…………中に入りましょうか、銀時」
──雨が降ってきそうです。
「……あぁ」
松陽の声に数秒して反応した銀時は、立ち上がりながらもなお、その一点をただ見つめていた。
その様子を見ていた松陽はそっと銀時へ手を伸ばし、その柔らかな銀髪へと触れる。
「あなたは優しい子です」
松陽の言葉には疑いの色は微塵もなく、強く確信して言っているのが銀時にも伝わった。
けれど、その言葉に対して何を返すのが正しいのか分からず、銀時は何も返せず松陽を不可解そうに見た。
ポタッ
銀時の上に触れていた松陽の手に、何かが落ちた。
(あぁ、降ってきちゃいましたね)
空を見上げて思う松陽に、新たな雨粒が降り落ちる。
ポタッ ポタタッ
ぱらぱらぱら
次第に体へ触れる斑な冷たい感覚は広がっていき、瞬く間に飴は二人の体を濡らしはじめる。
「銀時、中に入りましょう。風邪をひいちゃいます」
こくり、と。無言で頷く銀時を見て、松陽は優しくその手を引いた。
銀時は松陽に手を引かれながら、最後にもう一度だけ、後ろを振り返って例の場所を見た。
(やっぱり俺は…………)
ポタッ
瞼に落ちてきた雨粒に、それまで無を貫いていた銀時の顔が小さく歪められた。
きっと雨のせい。
そう、雨のせいだ。
銀時は自然と歪められてしまう自らの顔を、雨のせいにした。
その顔は、感情のない反射的な歪みではなく、たしかに悲しそうな色を秘めていたことを、銀時は自分で自覚できないでいた。
松陽に優しく引かれる銀時の手、人差し指からは、血が細い筋となって滴っていた。
*****
「また助けようとしたんですね」
「…………」
「また拒まれたんですね」
「…………」
何の反応も示さない銀時の、まだ小さく、幼い手。
そんな手にできた、浅い切り傷をじっと見つめ、松陽は側に用意した木箱へ手を伸ばした。
「あれはプライドの高い生き物なんです。銀時が悪いわけじゃありません」
箱から選び取った消毒液を、松陽は銀時の人差し指にできた切り傷へ振りかけながら続ける。
「自らの力で足掻いて、足掻いて足掻いて、最後の最後まで生を掴み取ろうと必死になって、例え死を迎えるその時でも、彼は自分のプライドを貫き通そうとした」
松陽は話しながら消毒液をしまい、次に絆創膏を一枚取り出して、慣れた手つきで銀時の指に貼ってやった。
「そうでしょう? 銀時」
優しい微笑みに乗せて問いかけられた言葉に、銀時は暫し松陽の顔を見つめ返し、静かに頷いた。
以上が書き殴りメモの供養です。
この話はなんとなく何が書きたかったのか覚えております。
攘夷戦争時代の白夜叉銀時様が、誰かを助けようとしてその手を拒まれ、目の前で死なせてしまう。
そんな状況からの冒頭の台詞。
そこから過去の回想に入り、松陽と子銀のやり取り。
子銀は昆虫同士の、カマキリと蜘蛛の弱肉強食な戦いを見ていた。
形勢が不利そうなカマキリを見て、なんとなく助けてやろうと手を伸ばした銀時は、必死にクモの巣から逃れようと暴れるカマキリのカマにやられ、指を切ってしまう。
そんな過去を思い出した銀時の独白を挿入。
その頃の銀時は松陽に拾われたばかりだったので、まだまだ自分とその他以外の知識が足りていなかった。
だからこそ深い意味もなく、助けようとして拒まれて。
次第にそのことに意味はなく、助けるといった行動も他者のエゴでしかないと理解するも、無意識に芽生える感情は別である。
それを思い出し、再び攘夷時代描写へ。
助けようとしたのはまだまだ血気盛んな若い侍だった。
自分と大差ない年齢の自分が白夜叉と呼び讃えられていることに、不満を漏らし、よく目の敵にされていた。
そんな奴でも、銀時にとっては戦場では仲間と認識し、守ろうとした。
だが、手を伸ばそうとした銀時に
「ふざけんじゃねぇ!!」
と叫び、その侍は銀時から背を向け、天人の振り下ろす棍棒を避けることなく、むしろ懐へ飛び込んで一矢報いた。
彼が何を思ってそうしたのかは分からない。
それでも、銀時にとっては、己を拒絶されたように感じてしまい、漠然と、なぜ、そんなに俺は嫌われていたのか、生きることよりも、一矢報いて死ぬ方を選ぶほどに、と考える。
曇天の空を見上げ、かつて松陽に撫でられた頭の感覚を思い出し、銀時は再び戦場を駆け出す。
みたいなエンドから、侍視点。
本当はただ悔しいだけで、自分と一つも変わらない奴が活躍しているのに、自分は何もできないでいつも生きるのが精一杯なことに腹を立てていた。
それを一人で消化できず、銀時に当たってしまう自分自身に、実は辟易していた。
そんな中での最後。
もう自分は駄目だ、そう悟れた瞬間だった。
そんな時、背後から白夜叉の声が。
鬼神のような戦いを見せる白夜叉は、その実、誰よりも仲間思いで、誰かのために剣を振るうような男だった。
だからこそ、いつもは自分との差にプライドを刺激され、八つ当たりをしていた。
そんな奴が、自分のためなんかのために、こちらへ足を踏み出している。
白夜叉の力は一騎当千。
自分なんかを救う時間があれば、その分敵を斬れば、他の誰かが救われる確率はグンと上がる。
そんな男が、敵を斬る手を緩めてこちらを助けるために時間を割こうとしている。
そんなこと、そんな情けないこと、自分自身が許せない。
今助けられたとしても、自分がこの先どれほどの戦力になるだろう。
白夜叉が自分を助けようとすることで怪我でもおってしまったら、どれだけの被害が出るだろう。
死を悟った瞬間、走馬灯のようにこれまでとこれからの可能性を考えた侍は、気づいたら叫んでいた。
「ふざけんじゃねぇ!!」
未来を後悔で生きるくらいなら、俺だって侍だ。
最後くらい、侍として生きて死んでやる。
覚悟を決めて天人に駆ける寸前、侍の目に映った白夜叉の目は、驚きからか目を見開いて、こちらを見ていた。
あぁ、最後にそんな目で見てもらえるなんて、ちゃんと仲間として認められてたんだな。
侍はその事を誇らしく思いながら、討ち死にする。
みたいな感じで書きたいと考えていたと思います。
いやぁ、懐かしいですね。
ここまで覚えているので、いつかもうちょっとちゃんとした形で短編にするかもしれません。
いつかね、いつか。かもしれないって話です。
期待はしちゃいかんですよ。
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