新八に布団を剥ぎとられ、神楽は瞼をとろんとさせながらもゆっくりとその体を起こす。
「……今何時アルか?」
まだ寝惚けていて上手く頭が回らないのか、新八に問うた神楽は押入れから出ようとしてそのまま襖に頭をぶつけてしまう。
「痛っ!?」
「大丈夫神楽ちゃん? もう八時が来るよ、そろそろご飯が炊けるから早く起きて」
そう言いながら新八は台所まで神楽用に用意していた朝食をとりに行く。
「ん~、大丈夫ネ。それより新八、今日は何アルか?」
「卵焼きとハッシュドポテトにメザシだよ」
盆にのせて今言った全てのおかずを持って居間に戻った新八。
「今すぐ顔を洗ってくるネ!」
頭をスリスリとさすっていた神楽は、新八の持ってきた朝食を目にし、先程までの緩慢な動きがまるで嘘のようにシュタッ シュタタタタタと俊敏な動きで洗面所へと向かった。
新八はそんな神楽の反応になんとも言えない温かい気持ちを覚え、全く仕方ないなと微笑を浮かべながら神楽に山盛りのご飯を注いだ。
神楽がリビングに戻ってきたのは、それから数秒後だったという。
「プレゼントォ?」
お登勢がそう言うと同時に、お登勢が持っていった煙草の煙はユラリと揺れた。
「あたしゃプレゼントを買う余裕があるんならサッサと家賃を払ってもらいたいんだけどねぇ」
煙草を口に咥えながらそう言ったお登勢の言葉に、新八は「アハハ……」と困った顔をしながら口を開く。
「それを僕らに言われても困りますよ。僕らもまともに給料を貰ったことないんですから」
「そうアル! 毎月の給料が酢昆布一ダースってどう言うことネ! 私そんな酸っぱい給料お断りヨ。せめて梅酢昆布一ダースにしてほしいアル!」
「神楽ちゃん……それって結局酸っぱいものから酸っぱいものに変わっただけだから」
酢昆布を一口、引き千切るようにして口に含んだ神楽に新八はすかさずツッコミを入れた。
2012年に書きかけて終わってたやつらしい。
記憶にすらないよね、もう。
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