top of page

​白 銀 の 戦 慄

シリーズライン.gif

[銀魂]松陽+子攘夷のほのぼのシリアス

  • 執筆者の写真: siversou
    siversou
  • 2022年1月5日
  • 読了時間: 2分

更新日:2022年1月9日

 日に日に肌寒くなっているように感じる風に、髪を揺らしながら吹かれていた銀時は、庭に植えられていた紅葉の葉が風に巻き込まれ、とぐろを巻いていたのを見た。

 もう秋も終わる。次は冬将軍の季節。

 去年までならそれに命の危機を感じて身を震わせていたが、廊下の奥から漂ってくる美味しそうな匂いに、銀時は猫のように自分の喉がなるのを感じて去年までのことを思い出した。


 お腹を空かしている状態が当たり前だった。

 腹の虫も腹減りの度合いが過ぎて死んでしまったのではないかと、そんな心配してしまうくらいにはお腹を空かせていた。

 山に入っても口にできる物の数は限られていたし、川へ行って魚を採ったとしても、獣に狙われて結局食事にありつけずに終わっていた。

 人里に行くなんてのは論外だ。己のことを見咎めた者は皆「鬼子」と罵った。

 「鬼子」でなければ「忌子」や「化物」と罵られたこともある。

 大抵の人間は人を外見でしか判断しないからか。

 身を守るために屍から剥ぎ取った刀を持っていたせいもあるのか。

 己の銀髪を見て、人は普通とは違う子供……恐るべき存在だと勝手に思い込んだ。

 そして、自分の命を守ろうとして俺の命を狙って襲ってきた。

 そうなったらもう、お腹が空いただなんだ言っている場合ではない。

 だから人里には近寄ることもできずにいた。それが去年までのこと。


 銀時は十日前に拾われた。

 屍が山を作る場所で、吉田松陽と名乗る男に。

 松陽は今まで出会ったどの人間とも違った。

 銀時を見て殺気立つでもなく、鈴鹿な口調でこう言ったのだ。

「……ついてきなさい」

 その言葉に拘束力や強制力なんかこれっぽっちも含まれちゃいなかった。

 自分の意志でついて行くもいかないも選べる。

 むしろ、自分の意思でそれを選ぶように言われたような言葉だった。

 だから惹かれた、吉田松陽に。

 ついて行った先で松陽と名乗った男はいろいろ教えてくれた。

 自分が俺と同じ年の頃の子供を集め、松下村塾なるものを開いていると。

 そこで子供たちには一体何を学んでほしいのか、聞いてもいないのに朗々と語ってくれた。

 なぜ塾なんてものを開こうと思ったのか。




〆→木の葉が全部散り、新しい季節の本格到来を知らせていた。

最新記事

すべて表示
[銀魂]目も眩むほどの青[前編]

去年書いた梅雨に合わせたSS 少しSSと呼ぶには長いので前後編で分けしましょう。 加筆してまとまったらページにまとめて更新するかもしれません。 【目も眩むほどの青[前編]】  淀んだ雲の下、雨に降られる男が一人。  あてもなく、まるで何かに追われるように歩き続ける男は、色素の薄い長髪を背へ流していた。  男は緑深い山の中を行く。  ふと、そんな男の視界に、目が覚めるような青が過(よぎ)った。 「…

 
 
 
[銀魂]変わらない銀03

そろそろ早いですがタイトル回収です。 【変わらない銀03】  焦りよりも先に不審が先だった。  なぜ、こんなところにいるのか。  なぜ、気配をけす必要性があるのか。  なぜ────  尽きない疑念は目の前の子供自身にではなく、目の前で息を殺してこちらを伺っている子の、置かれた状況に対してだった。  だが、いつまでもこうして互いの出方を伺っているわけにもいかない。  高杉は考えるのを止め、肩にかけて

 
 
 
[銀魂]変わらない銀02

前回の続きSS 【変わらない銀02】  元の色より大分色褪せたように見える、色素の薄くなった水色のゴミ箱の先。  路地裏を彩る装飾品の一つになっている室外機の奥に、その子供はいた。  今の季節は春。  高杉が二年生に上がり、昔馴染みとの再会を一段落させ、一部再開できなかった既知のことを諦念したのが、一週間ほど前のこと。  しかし、高杉が見つけた子供の姿は、季節に合っていない厚い生地の衣服を地面に敷

 
 
 

コメント


bottom of page