十行と少し程度のメモでしたが、銀時様が生まれた日の経緯、みたいな。
生まれてからどういう流れで屍を漁るようになったのか妄想しかけたメモの供養です。
赤子の泣き声が響く。
小さなボロ小屋に、たった今生まれたばかりの子だ。
片手で持つには大きく、両手で抱えるには小さな桶の中で、赤子は泣いていた。
鳴き声が赤子の口から漏れるたびに赤子の体は揺れ、その体に触れている桶の水も同じく揺れる。
しかし、赤子の近くに赤子以外の人影は見当たらない。
この世に生を受け、力強くそのせいを主張している赤子を残して、赤子の親はこの場より姿を消していた。
いや、赤子が入っている桶の直ぐ傍には、横たわっている人の姿はあった。
赤子と違い、生を主張しない、息をせぬ屍と成った姿が。
その屍は他ならぬ、赤子の母親であった。
難病の末、この世に赤男を産み落としてすぐに息を引き取ったのだ。
父親は妻が命がけで産み落とした子を
ここでメモは止まっておりました。
この流れからすると、この短編での設定では赤子の出産を夫婦はともに乗り越えようとしていた。
そこで生まれてきた赤子のなにかに父親はその場から姿を消し、母親も赤子を出産して直に死亡。
父が先に消えたのか、母が先に旅立ったのかは定かでないものの、そのままボロ小屋に赤子は一人残される。
そこまでがここから読み取れる小説の設定ですね。
着地点としましては、そんなボロ小屋から響く赤子の鳴き声に誘われ、人なり動物なりが現れ、赤子を育てたのでしょう。
その後、死別したのか別離なのかはわかりませんが、赤子はいつしか一人きりで屍からモノを剥ぎ取って生きるように……
いやぁ、銀時様の過去は明かされていないからこそ、いくらでも妄想させていただくことができてたまりませんね!!
この明かすところと明かさないところのバランス加減が神すぎる。
空知先生、流石っす。
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