[うたわれるもの]巻き戻るとき5-1

TEXT『琉叶長編』にて連載中
【巻き戻るとき】のつづきです。
翌日、朝食を済ませてすぐにハクは女将へと声をかけ、受付業務を変わってもらった。
女将は受付に厨房のことだけでなく、旅籠屋内の掃除や入浴場の清掃全般。
諸々多岐に渡って少ない従業員に指示を出しつつ、女将自身が自分でも担当していたので、「なんだか悪いねぇ、助かるよ」と笑ってくれた。
ハクは朝早くから訪れる泊り客を時折相手にしつつ、これでかつて受けた恩を少しでも返せてたらいいんだが、と思う。
クオンは朝食を済ませた後、今日駆け込んでくるだろうギギリの被害者たちのために、再度山へ薬草を取りに行った。
過去でも最近になってギギリの被害が増え、不足気味になっていた薬草だ。今後の展開を知っているだけに、備えあれば憂いなしと考えたのだろう。
薬師であるクオンらしい決断だ。
薬草ついでにクオンが旅籠屋を出る直前、酔い止めの薬をつくる薬草があれば頼むと言えば、得心がいった顔をして「任せといて」と出て行った。
ウルゥルとサラァナには、地図をもとに割り出したボロギギリの大まかな住処の範囲を、更に絞ってくるようにと頼んでいる。
鎖の巫としての力を有している二人なら、気配を消して偵察できるのでこう言った調査はお手の物。
何かあれば眷属としての繋がりもあるので、離れていても心配ない。
早ければ昼前には戻ってくるだろう。
ハクは客が来ない間、体を伸ばして筋肉を解したり、受付から見える外の景色を眺めたりしてのんびりした時間を楽しんでいた。
思えばこうしてゆっくりするのは久しぶりかもしれない。
親友二人と二度目の邂逅を果たした後は暫く、休みたくても休めなくなるだろう。
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