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​白 銀 の 戦 慄

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[銀魂]握り飯の攻防

  • 執筆者の写真: siversou
    siversou
  • 5月1日
  • 読了時間: 2分

自然に書き始められる文章が、どうしても屍を喰らう鬼時代の銀時様になってしまうのは、やはり私の癖がここであるという証左か。



 風薫る新緑の五月。

 山並みは自然に溢れ、目に美しい風景が広がる。

 しかし、ひとたび自然から離れた場所へ出れば、そこには寂れた大地が広がっていた。

 緑も見えない茶色の大地に、覆いつくすように広がる多数の屍の山。

 そこに、子はいた。


 腐る前の真新しい屍の身包みを漁り、一つの屍からお目当ての物を見つけた子供は、顔色を変えることなくそれに鼻を近づける。

 鼻を突くような饐(す)えた臭いはない。

 臭気がないことを確認し、食べれることを確かめた子は屍を座る場所にして緑の葉に包(くる)まれた握り飯に食らいついた。

 むぐむぐと柔らかな幼い頬を膨らませ、数日ぶりの戦果を堪能していた子は、空を舞っていた黒が、徐々に近づいてくることに気付くのが遅れた。

 気づいた時には、すぐ目の前に飯敵の鋭い趾が迫っていた。

 銀の髪が宙に軌跡を引く。

 子は瞬間的に身を仰け反らせて襲撃を回避したものの、敵──カラスもカラスで、狙いの握り飯に趾をかけ、一部だがそれを抉り取った。

 抉られた白から、ポロリと赤が落ちる。

 それを視界ではなく手の感覚だけで察した子は、宙を後転した直後、着地を決めたと同時に足下に落ちていた錆びついた刀を手に取り振り抜いた。

 しかし、切っ先がカラスに届く前に、標的は空高く舞い上がり子の間合いから脱していた。

 銀と黒の攻防は、一瞬の内に決着がついた。

 子の左手の中に納まっていた握り飯は、上半分を失い見るも無残な姿になっている。

 視界に空しく映る赤い痕が、米の白さに映えているのがより一層虚しさを掻き立てる。


 カア カア


 すわ勝利宣言でも上げるかのように声高に鳴くカラスに、子は空を仰いで声を張り上げた。

「勝ち逃げしてんじゃねェぞクソガラス!!」

 この足元には、土に塗れた赤く染め上げられた果実が転がっていた。

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